急いてはことを仕損じるわけで
とーれとれ ぴーちぴち ○○料理ー♪
…特定の地方以外じゃ流れてないだろこのCMは!
さておき、とれとれぴちぴちが必ずおいしいなんて思ってる
としたら、それは必ずしも正しくないといわざるを得ない。
無論タイミングにもよるわけだけれども。
さて、究極の生け作りとかで、魚をものすごい速さで3枚におろして
おろされた魚がまだ動いてるとかいうレベルだったら、そりゃまぁ
新鮮なんてレベルじゃねぇぞ!ってことなので当然その肉も柔らかい
だろうさ。
…ところがね。
筋肉を構成するアクチンとミオシンは、死後筋肉中のATPがなくなって
しまうとアクトミオシンを生成して硬化し始める。
筋収縮のためのカルシウムイオンが筋繊維内に放出され、弛緩を行うための
ATPがなくなってしまっているからだ。
いわゆる死後硬直である。
死後硬直は死後1時間くらいから徐々に始まり、死後6時間にもなるともう
完全にがちがちになってしまう。
この状態のものは新鮮ではある。あるのだが…ぶっちゃけ硬くて食えない。
新鮮なのにものすごく硬い刺身を食べたことあるだろうか?
こういう状態であった場合、刺身として食べるのがおいしいとはいえないだろ。
無論そういう刺身であっても、切り方によってはそれなりにおいしくいただける
のだけれども…(薄く切るならいいかもしれないけど)
その後しばらく経つと(温度などにもよるが)自己消化などが起こり始め、
肉内に遊離アミノ酸が増加する。
(20070327:遊離アミノ酸だけではなく、イノシン酸も旨み成分として重要であり
それの増加も考慮されます。掲示板でのご指摘ありがとうございました。)
この遊離アミノ酸、うまみの成分なんだからそらあったほうがいいだろ。
肉の硬さも程よくなる。
もっともそこからさらに放置しておくと、分解が進み、バクテリアも分解に
参加してバクテリアが栄養分食ってしまう。腐敗や発酵の過程といえる。
人間にとって害になるものは腐敗なわけで、で多くの場合は腐敗を引き起こして
しまうわけなのだこれが。
(20070327:はらわたや血があると生臭くなりやすいので当然とったほうがいいですね。
こちらも掲示板でのご指摘ありがとうございました)
遊離アミノ酸とか有用なものを生み出してくれればいいが、毒をばかすか
生み出すのが腐敗という現象なわけで…
早ければいいというものでもないし、遅すぎれば腐るわけだ…
そう考えると魚や肉が最も旨い時期というのは(気温に左右されるが)
死後一定の時間が経過して死後硬直が解け出した時期といえるのではないか。
死後12時間ってところが妥当な線かなぁ?
昨今の流通事情考えると、あまりに新鮮な食材買ってくるとかえって旨く
ないかもしれないよと。
バナナなんかでもよくいうよな。
でんぷんなどが多く含まれているものが、熟成が増すと分解され、糖質が
増えるから甘みが増す。だから腐っちゃダメだがその手前がいいのだと。
さて、話は変わるが、ホタテなどの貝柱は皆さん食べたことがあるだろう。
ところがこの貝柱、面白い特性がある。
「殻を閉じるためのエネルギーをほとんど必要としない」
という点である。この収縮、キャッチ機構とよばれる機構により行われており、
普通の筋収縮の1/2000程度のエネルギー消費なのである。それであのパワー。
牡蠣のからをこじ開けようとして苦労した方も多いだろう。
…まぁあれちょっと電子レンジでチンすればあっさり(邪道)
さっとチンしたら生に近い食感でなかなかにおいしかったと。
それもそのはず、タンパク質にもよるが50度で変性しないものはそう多くない。
…牡蠣からしたら笑えねぇ話だな…せっかくの自慢の貝柱がそんなせこい手で…
もちろん腐ったものは食べられないけどさ、新鮮ってのが必ずしもおいしいとは
限らないよとだけは思うわけで。とはいえ今度は見極めが難しい。
…おいしいものを食べるってのも大変ですよ●岡さん。
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